渋パブ・リレー・エッセイ (RELAY ESSAY)

勉強ノートのすゝめ

2009.8.3

弁護士 清野英之

1 勉強ノートとは

 皆さんは勉強をした後,勉強がやりっぱなしになっているということはないでしょうか。勉強してもなかなか成果が上がらなかったり何度も同じ間違いをしたりしてしまう方に,勉強ノートを作成することをお薦めしたいと思います。
 ここで言う勉強ノートとは,授業の板書や論点を要約したりしたいわゆるノートではなく,勉強の成果,自分の問題点や今後の課題などを自分でまとめて記載しておく,勉強チェックノートというべきものです。

2 勉強の計画を記載する

 例えば,司法試験であれば科目ごとの目標や計画を記載してみます。
 目標を決めたり計画を立てる上で大事なことは,その内容を文章にして残しておくことです。形式は自由ですが,必ず文字にして形に残し,それを定期的に読み返すようにして下さい。計画の達成時期や達成内容についても,なるべく具体的に記載しておいた方がいいと思います。計画を作成した日付も書いておきます。

3 自分が行った勉強内容や自分の問題点を評価する

 勉強の計画をノートに記載しても,計画どおりに行かないこともあります。
 また,勉強をしていく上で自分の問題点が明らかになる場合もあります。
 このように計画どおりに行かなかったり,自分の問題点が明らかになった場合には,同じ間違いを繰り返さないためにノートを活用するようにします。
 ここでも,勉強の計画を立てることと同じく,文字にして残しておくという方法が有効です。できれば,1週間に1回くらいは,計画と照らし合わせて実行が出来たかどうかをノートに書いておきます。そして,自分の問題点はどこか,その問題点はどういう理由あるいは原因から生じているのか,どうしたらその理由や原因を改め問題点を克服できるのかを自分なりに論理的な文章として構成し記載しておきます。
 どのような内容のことを書くかは人それぞれだと思いますが,大事なことは,問題点を具体的に抽出し,どうやったら改善出来るかを論理的に書いておくこと,そして,残した文章を定期的に後で読み返すことです。この文章についても,作成した日付を必ず書いておきます。もちろん,計画が達成出来たと思ったら,達成出来たことと達成出来た理由などを書いておいたり,問題点を克服できたのであれば,克服できた理由などを書いておくのもよいと思います。
 勉強ノートを作る際には,きれいなものを残そうとか,完璧なものを残そうなどと思う必要はありません。どこまで行っても勉強ノートは自分一人で読むものですから,きれいである必要はないし,完璧である必要もありません。

4 評価を改善につなげる

 なぜ勉強ノートを作ることが有効なのでしょうか。
 人間は,自分のことを客観的に見ることはできません。よって,現在の自分は現在の自分を客観的に評価することはできないし,現在の自分は過去の自分を客観的に評価することもできないのです。したがって,自分に対する評価は現在についても過去についてもどうしても甘くなりがちです。この評価の甘さが,勉強の成果がなかなか上がらなかったり何度も同じ間違いを繰り返したりしてしまうことの原因なのです。
 しかし,現在の自分は,過去の自分の書いた文章ならば客観的に見ることが出来ます。人間は,過去の自分が書いた文章を通して初めて過去の自分を客観的に評価できるのです。
 自分が書いた勉強ノートを後日読むと,気持ち悪いと思います。変に自信満々だったり,わかってないくせにわかっている気になっていたりしています。でも,それでよいのです。自分が書いたものを読んで気持ち悪く感じるという時点で,客観的に見ることができていることがわかります。
 過去の自分が書いたものを読むことにより,何がわかっていなかったのか,何がわかるようになったのか,今でもわかっていないものは何かがなんとなくわかってきます。そして,なんとなくわかったことをまた勉強ノートに書き留めておきます。
 そこでわかったつもりになったことを書き留めておいたとしても,さらに後日勉強ノートを読み直すと,やはりわかったつもりになっていただけで,実はわかっていなかったということに気づくかもしれません。そういうことを何度も繰り返しながら,少しずつ問題点が改善され,進歩していけばいいのです。
 ダメなのは,気持ち悪いからといってそもそも勉強ノートを残さないとか,勉強ノートを書きっぱなしにして読み返さなかったりしてしまうことです。これでは,評価も改善もできません。勉強ノートを書くことと定期的に読み返すことはセットにして,繰り返し行ってください。そして,改善すべき点については必要に応じて計画に反映させます。これはサイクルなので,目標が完全に達成されるまで終わりがありません。

5 ノートは果てしなく続く

 などと,蕩々と語ってきました。しかし,私も趣味のゴルフのプレーや練習の内容をゴルフノートにメモし,時折読み返していますが,なかなか上達しません。恐ろしいのは,何年か前に書いてあったことと同じことをまた書いていたりすることです。評価も改善も,なかなか容易には出来ないものです。
以 上