リーガルクリニックニュース (LEGAL CLINIC NEWS)

リーガルクリニック上級 最終報告会
2012.10

 平成24年8月31日の午後、今年度の「リーガルクリニック上級」の最終報告会が、國學院大學で開催されました。今年度も、夏の暑さに負けず劣らずの白熱した最終報告会となりました。

 今年度の「リーガルクリニック上級」は、國學院大學が4チーム、國學院大學と獨協大学の合同チームが1チーム、東海大学が1チーム、明治学院大学が4チームの合計10チームで実施されました。最終報告会では、時間の関係により、國學院大学・獨協大学合同チーム、東海大学チーム、明治学院大学チーム(2チーム)の合計4チームが発表を行いました。

 ところで、「リーガルクリニック」と言われても何のことやら、と思う方も多いかもしれません。「リーガルクリニック」とは、法曹の卵である法科大学院生が指導担当弁護士とともに実際の事件処理に当たりながら、法曹に必要なスキルとマインドを学ぶ授業科目です。「リーガルクリニック」には、「見て、聴いて、考え、調べ、書いて、行動するという、法律家に必要な全ての要素」(当事務所所属の四宮弁護士による開講の辞)が含まれています。当事者の生の声を聴き、現場に足を運び、生の事実を目の当たりにしながら、頭と心と体を総動員して事件と本気で向き合うという、苦しくも楽しい経験を経て、法科大学院生たちは法曹に必要なスキルを磨いていくのです。
 そんな無茶な、とお思いになった方もいるやもしれません。しかし、毎年、「リーガルクリニック」を経て、学生諸君は見違えるほど逞しく成長していきます。その学生諸君の成長した姿がまさに示されるのが、最終報告会の場に他なりません。
指導に当たった当事務所の弁護士たちは皆、少しの不安と大きな期待をもって、最終報告会に臨んだのでした。

 当日は、リーガルクリニックの受講者、各法科大学院の教員の先生方はもとより、上記4大学以外の法科大学院からの見学者の方々にもご参加いただきました。他大学からの関心の高さがうかがわれます。また、実務の現場からも、当事務所所属弁護士のほかに、他の事務所に所属する弁護士の先生方も複数お見えになり、例年以上に豪勢なギャラリーでありました。

 各チームの発表内容は、交通事故の損害賠償請求事件、在留資格認定書交付申請に係る行政事件2件、在留特別許可を求める行政事件でした。行政事件が多かったのが今年度の特徴です。いずれのチームも、内容面・形式面ともに周到な準備をして臨んでくれたことがうかがわれる発表内容でした。
 各チーム20分の発表ののち、報告会恒例の質問タイムです。フロアから矢継ぎ早に質問が飛んできます。発表学生は様々な角度・観点からの質問に要領よく答えていかなければなりません。普段は教壇に立つ先生方が、立場を反転して、ここぞとばかりに手加減なく(!?) 質問の手を挙げられ、学生諸君の発表内容に鋭く分け入っていきます。学生諸君にとって誠に大変なこと、想像に難くありませんが、しかし、そのような状況下でも、学生諸君は物怖じせず、堂々と応答されていました。また、先生方からの質問のみならず、受講学生間の質問と応答の応酬も活発に行われました。異なる法科大学院に所属する学生相互の議論を通じて、事案の本質がクリアに焙り出されてくるというシーンも多々見受けられました。これこそ、4大学の法科大学院が連携して実施する本リーガルクリニックの最骨頂です。

 最終報告会の余韻も冷めやらぬ中、引き続き場所を移しての懇親会が執り行われました。懇親会では受講学生1人ずつに、リーガルクリニックの感想を述べていただきました。大変だったけど、得るものはすごく大きかった、今後の勉強のモチベーションにつながったといった声が聞かれました。学生諸君はみな、大きなことをやり遂げた安堵と充実感に満ち、清々しい表情をたたえていました。ところで、最終報告会当日は、ちょうど、1ヶ月の間に2度、満月が見えるというブルームーンの日だったのですが、東京の夜空に神々しい光を放ちながらぽっかりと浮かぶ満月は、まさに学生諸君の晴れ渡る心の内を表象しているかのようでした。
 迫り来る来年の司法試験の足音を、この日だけは忘れて、懇親会会場から見える東京の夜景の大パノラマを背景に、あちらこちらで半年間のリーガルクリニックにまつわる苦労話が咲き乱れ、夜はこんこんと過ぎていったのでした。

 受講生は、明日からまた来年の司法試験に向けて、勉強を開始しなければなりません。しかし、生の事件と格闘し、頭と心と体をフルに使って生の事件に向き合った経験は、これからの法曹人生にとって得難い財産になるはずです。本年度の「リーガルクリニック上級」をやり遂げた学生諸君が、司法試験に合格して実務の世界に大きく羽ばたいていかれることを祈念してやみません。

 最後に、外部からご出席いただいたある弁護士の先生から頂戴した言葉を紹介させていただきます。曰く、今回の最終報告会を見てリーガルクリニックがもつ教育方法としての素晴らしさを実感した、と。法科大学院を取り巻く情勢は、年々厳しさを増しています。しかし、そういう時勢だからこそ、真に意味の有る、骨太な教育が求められているのではないでしょうか。

 

 来年もまた、新しい学生たち向けのリーガルクリニックが行われます。